手前みそを仕込もう

by 五味 洋子

1 大豆を洗い、水に浸ける(仕込む前日準備)

みそを仕込む前日に大豆を洗い水に漬けます。
大豆はお米を洗うように、水を4〜5回変えながらよく洗います。大豆が十分に洗えたら、大豆の体積に対して3〜4倍の水に浸して一晩おきます。

乾燥大豆
一晩水に漬けた大豆

大豆はと〜てもよく水を吸います。一晩水につけると体積は約2倍に!!

2 大豆を煮る

大豆が十分に水吸ったら大豆を煮ます。
今回は圧力鍋で〜。

水を切った大豆を鍋に移し、大豆がひたひたになるぐらいの水を入れます。
圧力鍋には最大容量があるので、しっかり守りましょう。

圧がかかって、シューシューと音がなってから20分。
圧が下がったら、大豆の茹で加減を確認。
目安は親指と小指でつぶせるくらいの柔らかめに。

3 煮汁をとっておく

大豆を煮たときの煮汁もみそ仕込みに使います。煮汁も捨てずにとっておきましょう。
そして、煮汁は人肌まで冷ましておきます。

    大豆を煮る作業は以上です。
    ポイントは大豆がしっかり煮えていること。
    それだけです!

4 こうじをパラパラにほぐす

こうじがパラパラになったところに塩を加えます。こうじは、蒸した穀物にこうじ菌を繁殖させたもの。
菌糸を伸ばして繁殖していくので、穀物同士がくっつき固まりになります。
この固まりをほぐしてパラパラにします。

5 塩切りをする

この作業のことを

    塩切り

といいます。
塩とこうじを最初に合わせることで、こうじ菌以外の菌を寄せつけないようにします。つまり、

    塩切りをしてこうじ菌がよく働ける土俵をつくってあげる

ということです。
※塩は全量入れず、振り塩をする分をとっておきます。4kgの仕込みでひとつまみ(約20g)程度
少量の仕込みであれば、パラパラにしたこうじと塩をジップロックの中にいれてしゃかしゃか振ってもいいですね

6 大豆をつぶす

大豆の柔らかさの目安は
親指と小指の間で簡単につぶれるくらいです。

つぶす目安は大豆の粒がなくなるまで!柔らかく煮えていれば手でも簡単につぶせます。煮たばかりの大豆は熱いのでポテトマッシャーなど使うと効率よく潰すことができます。

7 大豆とこうじを合わせる

5で塩切りしたこうじと、6でつぶした大豆を合わせます。
ここに大豆を煮たときの煮汁を入れます。
こうじ菌は70℃以上の温度に触れると菌が死んでしまい、発酵できなくなってしまいます。
こうじと大豆、煮汁を合わせるときは人肌まで冷ましてから!!

人が気持ちいいと思う温度と菌が快適に過ごせる温度は一緒です。
下からすくって、塩やこうじのパラパラがなくなるまでよーく混ぜ合わせます。固さの目安は、ハンバーグのタネです。

8 みそ団子をつくる

こうじ、塩、大豆、煮汁がよく混ざったら、みそ団子をつくっていきます。

このときのポイントは、ハンバーグをつくるときのように空気を抜くこと。
空気を抜いて元気な発酵を促すためです。

おみそがおいしくなるためには、酵母菌がアルコール発酵という発酵をします。酵母菌は嫌気呼吸という酸素を使わない呼吸をしてアルコールをつくりだします。このアルコールがみその風味や香りを作り出すのです!つまり、おいしいみそをつくるには、空気を抜くことがポイント!になります。

9 容器につめる

みそ団子を容器につめていきます。

団子を敷き詰めて、空気の隙間がないように拳で平に押し付けます。
1段敷き詰めたら、2段目からは団子を投げつけます。表面を平にならして、表面に殺菌用の塩をまぶして(工程5で残していた塩20g)、ラップをして重しを置き蓋をして作業は終了

10 保管方法

・出来上がりの量の2割の重さ(4kg仕込みだったら約800g)の重しをのせる
・直射日光の当たらない常温、室温にて保管

みそは冷蔵庫の一定の温度では発酵できません。冬の寒さと夏の暑さどちらも経験してじっくり発酵しておいしい手前みそになります。

11 手前みそができあがったら

重しを外すと、茶色くなったおみそが、香りも漂ってきます。
カビが生えていたら、スプーンでカビの部分だけすくって捨てます。
みその上にある水分は「たまり」です。旨味が凝縮されているので、捨てずにみそに混ぜ込みます。

五味醤油で買えます

手前みそキット(甲州みそ)

2,678円(税込)

米と麦2種類のこうじを入れる「甲州みそ」づくりに必要な材料のセット。すべて材料は計量してあるので、手前みそ(自家製みそ)仕込み初めての方でも安心してお使いいただけます。出来上がり量は約4kg。家庭の台所でも無理なく作れる容量です。

この記事を書いた人 五味 洋子

発酵兄妹(妹)三兄妹の末っ子として生まれ、高校卒業まで甲府市で育つ。東京農業大学醸造科学科を卒業後、2009年ライフスタイル提案会社に就職。社員食堂の立ち上げや、新規事業部で商品企画を担当。2013年山梨へUターン。2014年五味醤油入社。六代目を務める兄仁と二人三脚で奮闘中。WEBマガジン〔大人すはだ〕コラム連載。YBSラジオ〔発酵兄妹のCOZYTALK〕出演中。