Taneができるまで(2:リノベ編)

by 五味 洋子

五味醤油の元醤油製造場「Tane」の改装の様子を写真で振り返っていきます。
外のスペースは物置と、社用車の駐車場でした。

扉がなかったので、壁をぶち抜いて

内部の工事。まずは、醤油用の麹室を取り壊しから。

麹室がきれいさっぱりとなくなりました。
内部は雨漏りもあったので、屋根の改修工事を

工事をしていてもみそは製造しているので、みそ蔵との境界はブルーシートの壁で仕切っていました。まるで事件現場のよう。。

屋根を直していくと、壁も改修も必要になってきました。
この朽ちた壁は全改修。

壁を改修と同時に、新たに扉を設置

ここに麹室があったなんて信じられません。
今まで天窓から注ぐ光のみだったので、扉から差し込む光の明るいこと

新たに誕生した出入り口には工場にあったとトタンの扉を設置しました。
BERORE

AFTER

初めから誰かに貸す想定だったので、現工場の入り口とは別の出入り口をつくりました。Taneの出入り口旧甲州街道に面しています。ここまでの工事はKANENTEでもお世話になった深沢工務店さんです。ありがとうございました。
悩んだのが、現蔵との仕切りの壁。

みそ蔵の一角なので、せっかくならお互いが見える構造したらおもしろいのでは?と考え初め、全面ガラスにするなど色々考えていたところ、諏訪のReBuilding Center JAPAN(リビセン)のパッチワーク壁が頭によぎりました。Taneの改装当初からなんとなーく話はしていて、何かお願いできたらと思っていたので、これまたぐっとタイミングでした。
さっそくリビセンにある古材やうちの工場の窓枠などを並べてパッチワークのデザイン相談会。Taneの基礎工事の監修はKANENTEをつくったPRIME KOFUの鯉淵さん。パッチワークの壁のデザインはリビセン。そして、このときちょうど甲府に移住してきた大工のまりえちゃん(ヨナハワークス)が仲間に加わりました。まりえちゃんは、都内でアパレルに働いていたとき、旅先で宿泊したrucoというゲストハウスのデザインに一目惚れ、いい空間、デザインの価値について再認識し、大工の道へすすんだそうな。そしてそのrucoをデザインしたのがリゼセンの東野さんという!!なるべくしてなったチームが結成されました。

レトロな古材の窓枠はすりガラスもあり並べ方で印象や現蔵の見え方も変わってきます。わたしは使用する窓枠たちを洗うお手伝いを。誰かの家だったりお店をささえてきた建具たち。これからTaneをよろしくね。という思いをこめてせっせと水洗い。

大工まりえちゃんががんばって、取り付けた建具たち、上下の左官作業はリビセン、AKITOCOFFEE、五味醤油のメンバーでDIYしました。自分たちの手が加わるとより愛着が湧いてきます。

そして完成がこちら

Taneからみそ蔵をミラっと見ることができるようになりました。
真ん中の扉は取り壊した醤油の麹室でつかっていたものを移築。そして壁の建具のなかには、麹室でつかっていた麹葢(こうじをつくるときに使っていた箱)も使用しています。
BERORE

ARTER

とても薄暗かった場所ですが、光が差し込むように。
現蔵と味噌蔵の別の仕切りは、キッチンスペースを新設し、区切りしました。
BERORE

AFTER

間の写真がないので、びっくりな見比べになってしまいました。
現Taneのカウンター兼キッチンの壁の向こうには五味醤油の現麹室があります。
工事で日々変わっていく様子はなんとなく記録していたものの、定点観測していればよかったと後悔もしばしば。


使っていたなかった場所が生まれ変わり新たなに人が集う場所になった瞬間。
戦後立て直した蔵が、平成令和と時を経て再生されました。
この場所からどんな芽が出て花が咲いていくのか、ただただ楽しみです。

この記事を書いた人 五味 洋子

発酵兄妹(妹)三兄妹の末っ子として生まれ、高校卒業まで甲府市で育つ。東京農業大学醸造科学科を卒業後、2009年ライフスタイル提案会社に就職。社員食堂の立ち上げや、新規事業部で商品企画を担当。2013年山梨へUターン。2014年五味醤油入社。六代目を務める兄仁と二人三脚で奮闘中。WEBマガジン〔大人すはだ〕コラム連載。YBSラジオ〔発酵兄妹のCOZYTALK〕出演中。