街並み

by 五味 洋子

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近所の今村文具店が閉店することに。
小さいころから通っていた街の文房具屋さん。
祖母がまだ元気だったころぬりえ買ってもらったなー。小学生のころポスカをおねだりしたっけな。おばちゃんの元気な高い声が好きだったな。
街並みがどんどん変わっていく。
昔は、ローソンはなくて金手駅の近くにセブイレブンがあった。「ブンブン連れてって〜」と祖母の手を振り回したっけ。そのころは布団屋さんも和菓子屋さんも営業していて、鳩ぽっぽのお寺のところに八百屋さんもあって。みんな全部いまはシャッターが下りている。住人もものすごい勢いで減っている。
私の通っていた富士川小学校は生徒数が減少し、閉校してしまった。(県庁所在地なのにねw)うちで働いているおじさんから聞いたんだけど、この地区で昨年度生まれた子は18人。亡くなった人は70人くらい。って。若い人はみんな郊外に行ってるのかなー。どこに行ってしまったのだろう。
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そんな人がいないゴーストタウンになろうとしているところにKANENTEは新設しました。古い建物をリノベーションするわけでもなく、何もなかった場所に新しく。
KANENTEは、みそづくりをする場や食の体験をする場なんだけど、新しく建てたことにけっこう意味はある。元気がなくなってしまった自分の生まれ育った街、かつてのにぎわいはもう取り戻せないかもしれないけど、でも元気を発信できる場にしたいなと。どんどんシャッターが閉じていくなか、新しくへんてこな形の建物ができて近所の人も通りかがりの人も気にかけてくれる。まだまだ私たちの力だけでは足りないけど、ちょっとでも大好きな街が元気になったらうれしい。
変わっていく街並みをただただ見ているだけにはいかない。
みそ屋の踊っている兄妹がへんてこな建物立てて、みそをつくって人を集める。そんな新しい光景がこの街に広がっていきますように。そして仲間が増えてまちの元気を取り戻したい。時間がかかってもいい、じっくりじっくり発酵のように醸されていきますように。
いろいろ思うことはあるけれど、
つまらぬこの町よ、お前が好きだ。ってこと

この記事を書いた人 五味 洋子

発酵兄妹(妹)三兄妹の末っ子として生まれ、高校卒業まで甲府市で育つ。東京農業大学醸造科学科を卒業後、2009年ライフスタイル提案会社に就職。社員食堂の立ち上げや、新規事業部で商品企画を担当。2013年山梨へUターン。2014年五味醤油入社。六代目を務める兄仁と二人三脚で奮闘中。WEBマガジン〔大人すはだ〕コラム連載。YBSラジオ〔発酵兄妹のCOZYTALK〕出演中。