育む手前みそ

by 五味 洋子

姪の「ちんぷんみそ」

2018年2月に生まれた姪「ちんぷん」。

「ちんぷん」はあだ名で私が幼少期に、いつもプンプンしていたので、父親に「ぷんちん」と言われていて、私の小さい頃に似ていたため「ちんぷん」笑 うちの家族はなぜか皆あだ名で呼び合っていました。ちなみに兄は父から「弁慶」というあだ名で呼ばれていました。なぜに、、

彼女が生まれたときはちょうど手前みそ仕込みシーズン真っ只中。産後、実家(みそ屋)にいたタイミングで、生後わずかで手前みそデビューを果たしました。

生後6日ふにゃふにゃ〜の赤ちゃん。もちろん仕込みができる訳はなく。こうじを無理やり触ってもらい、仕込みをしました。手前みそのおもしろさの1つに「自分の手にある常在菌で味が変わること」生まれたての赤ちゃんの手には無垢で素敵な菌がいっぱいあるだろうということで、こうじを触ってもらいました。

甚だしい手前みそデビューはぎゃん泣で記念写真。振り塩をする前に記念に足形もつけて(きっと足にもいい常在菌があるはず)

この6ヶ月後離乳食が始まり、姪は自分の常在菌たっぷりの「ちんぷんみそ」でみそ汁デビュー。2歳になった今でも、お味噌汁が大好きです。

1歳になった「ちんぷんみそ」

2019年2月1歳になった姪。2018年に仕込んだみそを種みそにして、2回目のみそ仕込みに挑戦。

※種みそ:発酵を促すためにみそ仕込みのときに入れる熟成したみそ。入れることで発酵が促される。入れなくても大丈夫。

今回は発酵を促すためというよりかは、みその種継をするようなイメージで入れました。せっかく生後6日で仕込んだ貴重なみそなので、赤ちゃんのときのみそを少し入れてよりオリジナル感をだすために。

1歳になったから少し仕込みのお手伝いできるかなーと思いましたが、今回はお手伝いできず、、

2歳でついに仕込みデビュー

2020年2歳になった姪ちんぷんはついに、手前みそ仕込みデビュー。おままごとも大好きなので、三角巾をしっかり巻いて「料理をしている」という意識はあったようです。小さな手でこうじをほぐしたり、

種みそを混ぜ込んだりと大活躍。(手に落書きがあるのはご愛敬!!)2019年の終わりに姉になったちんぷん。妹のためにも頑張っていました。

お団子づくりは少し難しかったようで、投げるお手伝いを率先してやってくれました。「おいちょ〜」と気合を入れて。このみそが出来上がるころには、今度妹ちゃんの離乳食が始まり、お姉ちゃがつくったみそだよーと。食べてもらえるんじゃないかなー。

何気なくはじめた生後6日の赤ちゃんとのみそ仕込みは気付いたら大切なセレモニーになっていました。
何歳まで一緒にできるかは分かりませんが、「食べるものを自分でつくる」という意識が潜在的に芽生えたら嬉しいです。このまま仕込みをつづけて、さらに、ちんぷんジュニアに受け継がれていくのかなーなんて。

手形はちんぷん2歳(姉)、足型はちんぷん妹0歳のもの。
みそが発酵していくように、家族もじっくりと育まれていくのかな。そんな家族の味を支えていくお味噌が生業であることすごく幸せに思います。

ちんぷん姉妹のてまえみそ、おいしいお味噌になりますように。

この記事を書いた人 五味 洋子

発酵兄妹(妹)三兄妹の末っ子として生まれ、高校卒業まで甲府市で育つ。東京農業大学醸造科学科を卒業後、2009年ライフスタイル提案会社に就職。社員食堂の立ち上げや、新規事業部で商品企画を担当。2013年山梨へUターン。2014年五味醤油入社。六代目を務める兄仁と二人三脚で奮闘中。WEBマガジン〔大人すはだ〕コラム連載。YBSラジオ〔発酵兄妹のCOZYTALK〕出演中。