【やまご新聞WEB】コラム01

by 五味 洋子

【やまご新聞】での連載コラムは2つ、
1つは六代目社長のおすすめ本を紹介する【今月の本】、そして女将まさこの【徒然コラム】どちらも家族が書いている“てまえみそ”な人間模様ですが、お付き合いいただければ幸いです。

一緒に遊び、たまに仕事してる著者ヒラクくん。人生無駄なことは無いと思える一冊。 学生時代、文化人類学を学び休学してフランスで絵の勉強。その後デザイナーになり、ひょんなことから『発酵』に目覚め『発酵デザイナー』になった。ブリコラージュ的生き方を一番実践してる人だと思う。コロナ禍で大変な中、下北沢に発酵ショップもオープンした。僕は愛を込めて『コクラショップ』と呼んでいる(※ホントは発酵デパートメント)。

年間8万タイトル出版されてる本。業界の暗黙のルールで次々に出版される。コピペみたいな本も、一冊入魂して丁寧に売る本も同じ本だ。僕らの作る味噌や麹もちゃんと醸して、丁寧に売っていきたい。醸造所も街の風景として長く残していきたい。

発酵のメカニズムから、歴史、醸造家の紹介発酵の可能性まで触れることができる。五味醬油や友達の醸造家も出ている。ジョンレノンを麹にイマジンを酵素に置き換えて説明するあたりが、ヒラクくんしかできない表現だ。はじめから順番にでも、途中の章から読んでもわかる構成になってる。文庫本になったので、持ち歩いてちょっと空いたら読んでも良い。

全く想像できなかった現実に押し潰されそうな日々が続いています。直接会う、触れ合う喜びが断たれ、世界中が鎖国状態のようになること誰が想像したでしょう。経済的なダメージも深刻で、これからどのような世界になるのか見当もつきません。コロナ禍のなかそれに追い打ちをかけるかのような自然災害に人間のはかなさ、弱さをしみじみと感じます。はるか昔と思っていた「羅生門」の世界も今に通ずると感じています。この閉塞感のなか、日々淡々と生活をすること、足元を見つめなおす事を心がけました。
 
手前みそではありますが、一杯の味噌汁に心癒されゆっくり生活することで、おおきなうねりのなかで少し留まることができたような気がします。日本人にとって味噌は「羅生門」の時代から、様々なこと乗り越えながら飲み続けられてきました。【日本人には味噌がある】東日本大震災のあと発酵学者の小泉武夫先生が紙面で力強く呼びかけた言葉です。今再びこの言葉が力強く蘇ってきます。

五味醤油で買えます

発酵文化人類学

880円(税込)

この記事を書いた人 五味 洋子

発酵兄妹(妹)三兄妹の末っ子として生まれ、高校卒業まで甲府市で育つ。東京農業大学醸造科学科を卒業後、2009年ライフスタイル提案会社に就職。社員食堂の立ち上げや、新規事業部で商品企画を担当。2013年山梨へUターン。2014年五味醤油入社。六代目を務める兄仁と二人三脚で奮闘中。WEBマガジン〔大人すはだ〕コラム連載。YBSラジオ〔発酵兄妹のCOZYTALK〕出演中。