【やまご新聞WEB】03

by 五味 洋子

五味醤油が発行する超てまえみそな新聞「やまご新聞」2021年2月号は手前みそ大特集!!今回は女将と六代目にそれぞれ同じテーマでコラムを書いてもらいました。

手前みそを通じて

自家製みそを手作りする「手前みそ文化」の継承に力を入れている五味醤油。冬はみその材料の「こうじ」の販売で繁忙期を迎える。
「手前みそ」を通じて、自分たちも大きな気づきがありました。

何十年も麹を販売してきて、最初に戸惑ったのは、その配合。私たちのお勧めは、大豆・麹が同量で塩が半分という割合ですが、麹の量はお勧めの半分から倍まで様々。慣れるまでは毎回お客様に量の念押しをしましたが、家庭毎にそれぞれ独自の配合があり、私が関わる遥か前から続いてきたものです。

一度に仕込む量も若干は減ってはきましたが、最低でも出来上がりは、五十キロぐらいでこれも驚きです。

 「みんな違ってみんないい」

まさにその世界です。ネットでつながっている便利な時代は、簡単に情報を得ることができ、物も簡単に手に入れることができます。そんな時代に、手間暇かけて、それぞれが伝承の味を地道に続けてきていること、これが「手前みそ」の醍醐味かと感じています。

大量に仕込めない方には、少量でもその魅力をと「手前みそ教室」をはじめて約十年になります。教室に参加した小学生のお子さんが、甘酒を飲みがら、味噌も甘酒も麹の力だねと、ご両親と話していてびっくり、味噌に触れて発酵の世界が確実に広がっているのです。幅広い年代の方が毎年楽しみに来てくださるようになり、こちらも手前みその魅力が浸透していて喜ばしい限りです。

千年以上日本の風土によって育まれてきた味噌が、手作りでまだまだ伝わっていくお手伝いが出来る幸せを感じています。

大学を卒業後、就職先のタイでの勤務を終え、十二年前に五味醤油に帰ってきた。最初に担当した仕事は小学校での味噌作り教室だった。年々やっていくうちに、授業を手伝いに来たママさんから依頼を受けたり、公民館の教室などが増えていった。有難いことに年々、手前味噌をする人が増ていき、思い返すと、すごく気合入れて教えたいうよりは、普通に指導をさせてもらっていた。
 
よくよく考えると、発酵ブームとか手作りとかの大きな流れの波に乗っていたなって思う。歌を仲間たちと作ったり、県外に味噌作りに出張したり、町おこしのイベントに呼ばれてダンスをしてをいたが、やっぱり大きな波に押されて広がったんだと感じる。

手前味噌の魅力って何だろうかと考える。子供から大人まで一緒に作業できるのも楽しい。そして、半年後の家族のために作るって事が素敵だ。

もともとは家で作っていた味噌。一旦外に外注することで無くなった自分のDIY精神を取り戻す行為をしてるようにも思う。無くしてみてDNAで感じるんだと思う。

僕自身も、一連の広がりから、新たな発見がたくさんあった。モノの考え方や、今後のやりたい事。実は僕が一番近くで「手前味噌」の影響受けた一人だったと。

五味醤油で買えます

てまえみそのうた

1,650円(税込)

著者:小倉ヒラク&コージーズ 「てまえみそのうた」は、3分でみその作り方がわかる、かわいいアニメーションとダンス付きうた絵本。みそづくりの工程が一度聴いたら忘れない歌詞とメロディーになっているので、口ずさんでいるうちに、自然に楽しくみその作り方を覚えることができます♪

この記事を書いた人 五味 洋子

発酵兄妹(妹)三兄妹の末っ子として生まれ、高校卒業まで甲府市で育つ。東京農業大学醸造科学科を卒業後、2009年ライフスタイル提案会社に就職。社員食堂の立ち上げや、新規事業部で商品企画を担当。2013年山梨へUターン。2014年五味醤油入社。六代目を務める兄仁と二人三脚で奮闘中。WEBマガジン〔大人すはだ〕コラム連載。YBSラジオ〔発酵兄妹のCOZYTALK〕出演中。