大解説「甲州やまごみそ」

by 五味 洋子

「やまご新聞」WEB版。創刊号の特集はもちろん「甲州やまごみそ」いつも何気なく食べている味噌、知るともっと美味しく食べられるかも!?

合わせこうじ

「甲州やまごみそ」の「甲州」は甲斐の国の別名。
山梨に伝わる地味噌のことを言います。

味噌は通常、【大豆】【こうじ】【塩】からできます。こうじは1種類あれば味噌になりますが、「甲州みそ」は、「米こうじ」と「麦こうじ」の2種類のこうじを合わせた珍しい味噌になります。

なぜ2種類のこうじを入れることになったのか、それは山梨の地形や環境が大きく影響しています。
山梨は360度山に囲まれた盆地で、斜面が多く、稲作には適さず、限られた土地を田んぼにしていました。米どころであれば米こうじで味噌にできますが、山梨は米が十分になかったため、二毛作を行い米の不足分を裏作でつくった大麦で補っていました。
 
米が十分になかった山梨という土地だったこそ生まれた、この土地ならではの合わせこうじの「甲州みそ」です。

「やまご」とは

「甲州やまごみそ」の「やまご」とは五味醤油の屋号です。「山」に「五」で「ヤマゴ」です。「山」には商売によって家が発展しその絶頂をきわめたいという言うような願いが込められることが多いそうです。同じ業界にも、「ヤマサ」や「ヤマキ」さんなどがあります。

無添加天然醸造

木桶仕込みの味噌は余計なものは一切入っていません。ちょっと変わった包装もそのため。発酵を止めるための、アルコール添加も熱処理も一切していません。菌が生きているため呼吸できるように輪ゴムで封をています。
夏は気温が上がると菌が呼吸して、ポリ袋がパンパンになることがありますが、封を開け空気を抜いてもらえれば品質に問題なく使用していただけます。

木桶仕込み

みそ屋は現在、日本に大小合わせ約1000社ありますが、その中で木桶で味噌仕込みをしているのは、50社ほど。そのほとんどは小さな蔵元のため、木桶仕込みの味噌は生産量全体の1%以下と言われかなり希少なものとなっています。主流はFRPやステンレス仕込みなど、時代の流れとともに、メンテナンスのいらない便利で丈夫な容器の需要が増えていきました。

五味醤油は戦後やっとの思いで建て直し、お金もなかったため新しいタンクを買う余裕もなく木桶を変わらずに使い続けていました。
木桶にはそれぞれ味噌の風味をつくる酵母菌や乳酸菌が棲みついていると言われ、目に見えない菌が五味醤油の味噌の味を作り守ってくれています。

木桶文化の継承

木桶を使う醸造蔵も激減しましたが、醸造用の大きな木桶をつくれる桶屋さんは日本に一社となってしまいました。このままいくと近い未来、木桶での醸造文化がなくなってしまうかもしれない。という危機的状況から木桶職人の技を継承する「木桶職人復活プロジェクト」が2011年醸造家や若手桶職人にて発足されました。木桶の寿命は100年〜150年と言われています。

今この文化を継承して、伝統的な日本酒、醤油、味噌の作りを守っていかなければばりません。

復活した木桶

五味醤油の木桶は戦後から使っているものや、燃えなかった蔵から引き継いだもので70〜100年近く使っているものでした。
そして、昨年夏、パルシステムさんの助成金を申請して65年ぶりに木桶の修繕を行いました。徳島と長崎から若手の木桶職人が5日間住み込みでやってきました。
直した木桶は4トンの味噌が入る25石というサイズで、高さが約2メートルある大きなものです。素材は杉と竹のみ。金属や接着剤は一切使用せずに作られています。
 
今出荷している「甲州やまごみそ」は昨年修繕した木桶で仕込んだものです。菌がたくさん棲みついている側板はそのままで底板のみ入れ変えを行いました。
 
まちの小さなみそ屋の小さな取り組みですが、これからも伝統文化や、ふるさとの味を残し、伝えられるように努めていきます。

五味醤油で買えます

甲州やまごみそ(1kg)

616円(税込)

米こうじと麦こうじを合わせて発酵させた山梨の地みそ「甲州みそ」。

この記事を書いた人 五味 洋子

発酵兄妹(妹)三兄妹の末っ子として生まれ、高校卒業まで甲府市で育つ。東京農業大学醸造科学科を卒業後、2009年ライフスタイル提案会社に就職。社員食堂の立ち上げや、新規事業部で商品企画を担当。2013年山梨へUターン。2014年五味醤油入社。六代目を務める兄仁と二人三脚で奮闘中。WEBマガジン〔大人すはだ〕コラム連載。YBSラジオ〔発酵兄妹のCOZYTALK〕出演中。

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