何もない街から、わざわざ行きたい街へ。

by 五味 洋子

2020年10月号OZmagazine「もっとのどかな旅」特集。新しい旅先案内のなかで甲府、そして五味醤油がちょこっとが紹介されました。生活様式や旅のスタイルが変わるなか、王道ではない、のどかな旅先が登場します。

ページをめくると知り合いの顔もチラホラ。
ずっと行きたいと思っていた街、
友人が移り住んだ街、
初めて目にする街。

私自身ここ何年かの旅の基準は、人に会いにいくこと。温泉に入ること。美味しいものを食べること。器を買うこと。自然に触れ合うこと。になっているけど、

その土地の人に街やお店を紹介してもらい、帰る頃にはその街のファンになって帰ることもしばしば。

発酵の町となった甲府

初めてOZ magazineに紹介してもらったのは、2017年のOZ TRIP。
当時の編集長の古川さんが甲府の発酵が面白いらしいと聞きつけ(!)、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんと遊びに来てくれました。それから、山梨の発酵を巡る旅や、都内で発酵を体験するイベントなども手伝わせてもらいました。(上の記事の取材日も遊びに来たとおもったら取材でびっくりした記憶が…笑)

それから、甲府はありがたいことに、年に一度は登場するように。

中:2019年/春のひとり旅 右:2018年/日帰りの旅

どこの田舎もそうだけど、その土地の人はだいたい「この街には何もない」という。
私もかつては何もないと思っていた1人でした。

生まれ育った街だから大好きなだったけど、物足りないことへの退屈さ、田舎ならではの閉塞感みたいなものも感じ、東京への憧れを抱きながら高校時代を過ごしていました。

いつからだろう、人に来て欲しい街になったのは。

山梨を離れて暮らし、魅力を再発見したように思います。

物足りないことが退屈なことではなく、むしろ足元にある豊かさに気づいたきっかけがありました。
実家に帰るとそこには、父が作った味噌で母が味噌汁を作る日常(みそ屋ならでは)。親戚やご近所さんからのお裾分けの野菜や果物に溢れる食卓。醸造家さんがつくった地元のワインを飲む習慣。

顔が見える食卓がとても当たり前にあることに気づいたときから、地元の良さを再認識して、アレよアレよと、あんなに憧れた東京とオサラバしていました。(他のいろんなきっかけもありますが、今日は割愛)

わざわざ行きたい街へ

甲府も最近は、わざわざ来てくる人が増えた印象も。

友人の紹介だったり、行った先の飲食店や宿から聞いて訪ねてくれたり、雑誌で見て「いつかきてみたかったんです!」と目を輝かせて来てくれる方も。今回のOZ magazineきかっけで足を運んでくれる人が増えると思うと嬉しい限りです。

街の魅力は自分だけではつくれません。
その街で暮らす人、営む人で織りなすもの。
温泉入ったり、新鮮な野菜食べたり、おいしいワインを飲んだり、山見てのんびりしたり、
私たちの暮らしの延長を味わってもらえたら嬉しいです。

「甲州みそ」という故郷の味を、作って販売するだけではなく、
甲府、山梨のおいしいこと、たのしいこともいっしょに味わってもらえる「まちのみそ屋」になりたいです。

という訳で、誰にも頼まれていませんが、これから街の紹介もこのWEBでしていけたらと思います。

この記事を書いた人 五味 洋子

発酵兄妹(妹)三兄妹の末っ子として生まれ、高校卒業まで甲府市で育つ。東京農業大学醸造科学科を卒業後、2009年ライフスタイル提案会社に就職。社員食堂の立ち上げや、新規事業部で商品企画を担当。2013年山梨へUターン。2014年五味醤油入社。六代目を務める兄仁と二人三脚で奮闘中。WEBマガジン〔大人すはだ〕コラム連載。YBSラジオ〔発酵兄妹のCOZYTALK〕出演中。

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